2019-01-01から1年間の記事一覧

しきたりから逃れる

金子光晴の文章が好きだ。文章を読んでいて、こんなに考え方に共感することができる作家は初めてだ。何も目的はないけど、とにかく日本から抜け出したくて、だけど立ちはだかる海に、「ここは閉ざされている」と逃げられなさを感じる。いざ抜け出してみても…

倒壊と紙吹雪

色々な人と話すことが多くなると、相手によって自然と自分の口調や仕草が変わったりする。八方美人をしているわけではなくて、私の場合むしろ逆。好意的な感情を抱く友人・知人に対してぎこちなくなったり、あまり好意的に思っていない相手にはなおさらムッ…

過去と未来

「ときに未来の家は、過去の家よりも、堅固で、明るく、ひろびろとしている。」 過ぎ去ったもの、経験したものというものは主観や記憶の強度によって、夢想よりも夢想的なものになってしまう。ある方向を目指して夢想された未来はそれ自体確固とした存在とし…

似ている

カサノヴァが理想の人形と踊るワルツと早春に理想の少女のパネルを持ってプールに沈む少年は崩れ落ちてマネキンを海に誘う

清水宏の映画について

清水宏の映画を三つほど見た。『簪』.『ありがたうさん』.『按摩と女』。 按摩と女が一番好きだった。全体的に流れるような映像だなと思った。音楽のような、ひとまとまりとしての印象が後に残る感じ。だけど、按摩と女では特に、バストショットで女性が映る…